褒められた時に「いえいえ、全然です」と返したあと、相手の言葉をはね返したようで気になる。謙虚でいたいのに、自分を下げすぎている気もする。そんな時は、返事の順番を先に決めておくと迷いにくくなります。
最初の一言は「ありがとうございます」で受け取ります。そのあとで「まだ練習中です」「周りに助けてもらいました」と添えれば、控えめさも残せます。先に受け取り、あとから控える。この順番にすると、相手の言葉も自分の努力も消えません。
この記事は、謙遜と卑下の違いを会話の中で見分け、次に褒められた時の返事を一つ決めるためのページです。目的は、相手との会話が重くならない返し方を持っておくことです。
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謙遜と卑下の違いは、受け取るか消すか
違いは、褒め言葉を受け取ったあとに控えるか、褒め言葉ごと消してしまうかです。受け取ったうえで控えるなら謙遜。最初から否定すると、卑下に近づきます。
謙遜では、相手への感謝や周りへの配慮を添えます。卑下では、自分の努力や価値まで低く言い、相手がくれた言葉も弱めてしまいます。
| 言い方 | 中心にあるもの | 会話で起きること |
|---|---|---|
| 謙遜 | 相手への感謝、控えめな姿勢 | 褒め言葉を受け取り、場もやわらかくなる |
| 卑下 | 自分への否定、強すぎる低評価 | 相手が「そんなことないよ」と支える流れになる |
| 謙遜 | 周りへの感謝 | 手伝ってくれた人にも触れられる |
| 卑下 | 自分を低く言う癖 | 自分の中にも否定の言葉が残る |
たとえば「ありがとうございます。まだ勉強中ですが、そう言ってもらえてうれしいです」と返せば、相手の言葉を受け取ったことが伝わります。「私なんて全然できていません」と返すと、褒められた部分まで打ち消してしまいます。
違いが分かったら、返事の順番を決めます。長く説明しなくても、最初の一言で会話は変わります。
褒められた時は「ありがとう」から始める
褒められた瞬間に考え込むと、照れや否定の言葉が先に出やすくなります。だから、最初の一言だけ先に決めておきます。
使いやすいのは「ありがとうございます」です。そこに何か添えたい時だけ、短く続けます。下の表から、自分の口調に近い返し方を一つ選んでください。
| 褒められた言葉 | 返し方 |
|---|---|
| 資料が見やすかった | ありがとうございます/直したいところもありますが、そう言ってもらえてうれしいです |
| 料理おいしいね | ありがとう/気に入ってもらえてよかった |
| その服似合ってるね | ありがとう/選んでよかった |
| 仕事が早いですね | ありがとうございます/周りに助けてもらいました |
最初の一言があると、褒め言葉を否定せずに済みます。長く説明しなくても、受け取ったことは相手に伝わります。
反対に、褒められた瞬間に自分を下げる言葉が出ると、相手は返事に困ります。自分を下げる返事が続くと、褒めた相手にも負担がかかります。
卑下が続くと、相手が支える側に回る
卑下が続くと、褒めた相手は「そんなことないよ」と支える役に回りがちです。
「たいしたことないです」「私なんて」と返されると、相手はもう一度褒め直したり、励ましたりする流れになります。何度も続けば、褒める側も言葉を選ぶようになります。
| 卑下に近い言葉 | 相手が困る点 |
|---|---|
| 私なんか全然できていません | 褒めたことを否定されたように聞こえる |
| たいしたことないです | 相手の評価まで軽くされたように聞こえる |
| 自分には取り柄がありません | 返す言葉に困る |
| どうせ私は向いていません | 会話が重くなる |
| すみません、こんなもので | 相手が余計に気を遣う |
卑下してしまう自分まで責めると、さらに苦しくなります。人からどう思われるかが気になり、先に自分を低く言う返し方が身につく人もいます。
ただ、その言葉をいちばん近くで聞いているのは自分です。何度も「自分なんて」と言うほど、褒められた事実が弱まり、否定の言葉が残りやすくなります。
返し方は短く決めておく
会話の返し方は、長くするほど言い訳のように聞こえます。まずは一文から始めます。
| いつもの返し | 受け取ってから控える返し |
|---|---|
| いやいや、全然です | ありがとうございます/そう言ってもらえてうれしいです |
| 私なんかまだまだです | ありがとうございます/まだ勉強中ですが励みになります |
| たいしたことないです | ありがとうございます/工夫したところなのでうれしいです |
| すみません、変ですよね | ありがとう/自分でも気に入っていたのでうれしいです |
| たまたまです | ありがとうございます/準備してよかったです |
表の中から、自分の口調で言えるものを一つだけ選びます。
人間関係の言葉は、一度で身につけようとすると疲れます。落ち着いて読み直したい時は、手元の本から自分の場面に近い一文を探す方法もあります。
理解を深める本
落ち着いて言葉を選びたい時に読む
褒められた時の返し方は、その場だけで考えると焦ります。会話の言葉を落ち着いて読み直せる本を手元に置き、自分の場面に近い一文を探してください。
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本で拾った言葉は、そのまま口に出さず、自分の言い方に直して使います。次の会話で使える一文だけ持ち帰ります。
自分を低く言う口癖は事実に戻す
自分を低く言う口癖は、一気に消そうとすると苦しくなります。まずは、事実に近い言葉へ戻します。
無理に前向きな言葉へ変えなくても、会話は変わります。自分を傷つける言い方を避けるだけで、会話のあとに残る疲れは軽くなります。
| 口癖 | 事実に近い言い換え |
|---|---|
| 私なんか | 私はまだ慣れていませんが |
| まだうまくできていない | 直せるところがあります |
| どうせ無理 | 今のやり方だと難しそうです |
| 取り柄がない | 得意なところを探している途中です |
| すみません、こんなもので | 受け取ってくれてありがとうございます |
急に自信を持とうとすると、かえって疲れます。まず、自分に向ける言葉を荒くしないことから始めます。自分を傷つけない考え方をあわせて整理したい時は、次の記事も参考になります。
卑下の裏にある不安も認める
目立つのが怖い、期待されるのが重い、自慢だと思われたくない。そんな不安があると、先に自分を低く言って、場を丸く収めたくなります。
その不安まで責めると、返事を考える前に疲れてしまいます。ただ、守るための言葉が自分を傷つけているなら、別の言い方を用意します。
褒められた時に苦しくなる背景には、人との関わり方への緊張がある日もあります。会話全体がつらい時は、人との関わり方を整理した記事も読んでみてください。
苦しさが長引く時は相談先に話す
褒め言葉を受け取る練習だけで楽になる人もいます。一方で、何を言われても信じられない、失敗一つで自分を丸ごと責める、会話のあと何時間も苦しい。そんな状態が続くなら、返し方だけで抱え込まないでください。
信頼できる人や相談窓口に話します。必要なら専門家に頼る選択もあります。返し方を直す前に、休むことや安全に話せる相手を持つことが先になる日もあります。
次に褒められた時の一文を決める
次に褒められた時のために、最初の一文だけ決めておきましょう。
「ありがとうございます」「そう言ってもらえてうれしいです」「励みになります」。このどれかを最初に置けば、褒め言葉を消さずに会話を始められます。
そのあとで、必要なら「まだ練習中です」「周りに助けてもらいました」と添えます。長く説明しなくても、控えめさは伝わります。

