「一日中動いたのに、何が進んだのか分からない」。ブルシットジョブという言葉が気になる人には、仕事量の多さだけでは説明できない疲れがあります。使い道の見えない作業が続くと、何に疲れているのかまで分からなくなります。
仕事全体を否定する前に、今日やった作業を一つ選びます。「誰が使うのか」「何に使うのか」「やめたら何が止まるのか」まで分けて考えます。
この記事のゴールは、明日相談する作業を一つ決めることです。ブルシットジョブに近い仕事の見分け方と、職場で目的を聞く時の言い方を順番に見ていきます。
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ブルシットジョブは、役に立つ先が分からない仕事
仕事量が多いだけなら、まだ納得できる日もあります。忙しくても、誰かの判断が進み、相手が助かり、自分の手で一歩進めたと分かる仕事には、疲れと一緒に手応えが残ります。
毎週作る資料が読まれているのか分からない。会議に出ても何も決まらない。同じ内容を別の様式で報告する。こうした時間が続くと、手は動いているのに、仕事の行き先だけが消えていきます。
下の表では、忙しい仕事、つらい仕事、合わない仕事、ブルシットジョブを分けています。自分に近い行を見ると、次に確認することを一つ選びやすくなります。
| 近い言葉 | 起きていること | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 忙しい仕事 | 量が多く、時間が足りない | 減らせる作業、締切、担当範囲 |
| つらい仕事 | 体力や感情の負担が大きい | 休息、相談先、負担の分担 |
| 合わない仕事 | 役割と得意不得意が合いにくい | 担当変更、異動、次の職場条件 |
| ブルシットジョブ | 目的や届け先を説明しにくい | 使う人、やめた時に止まること |
点数表にすると、また自分を責めやすくなります。この表は、自分がどこで消耗しているかを見つけるために使います。苦しい場所が見えたら、次は作業を一つだけ取り出します。
仕事を一つ選び、届け先を書く
仕事全体をまとめて考えると、辞めるか我慢するかの二択に寄りやすくなります。最初に選ぶのは、今日やった作業の一つです。資料作成、定例会議、日報、問い合わせ対応、承認待ち。一つの作業まで絞ると、相談する内容が決めやすくなります。
その作業について、使う人、使い道、やめたら止まることを書きます。下の表は、週次資料を例にした整理の仕方です。空欄が出るところほど、職場で目的を確認する材料になります。
| 書く項目 | 例 | 次の動き |
|---|---|---|
| 作業名 | 週次資料を作る | 対象を一つにしぼる |
| 使う人 | 部長、営業チーム | 読んでいる人に聞く |
| 使い道 | 会議の判断材料 | 不要な項目を外せるか確認する |
| やめた時に止まること | 特に浮かばない | 回数や形式を変えられるか相談する |
| 自分で変えられる範囲 | 作業順、項目、提出日 | 試す内容を一つ決める |
届け先がある仕事なら、項目を減らす、形式を変える、回数を下げる相談ができます。届け先が出てこない仕事は、目的を聞く材料です。
作業の届け先を書いておくと、納得しやすい働き方も考えやすくなります。働く意味を広い視点で考えたい時は、こちらの記事が役に立ちます。
5つの型は、責めるために使わない
デヴィッド・グレーバーは、ブルシットジョブをいくつかの型で説明しました。型の名前だけを職場で出すと、相手を責める言葉に聞こえやすいです。相談につなげるには、作業のどこで目的が見えなくなったのかを確かめます。
型は、相手を責める道具にしません。下の表では、起きやすい場面と、自分に聞くことを並べています。思い当たる作業があれば、使う人と使い道を確認します。
| 型 | 起きやすい場面 | 自分に聞くこと |
|---|---|---|
| 取り巻き | 同席や待機が主な役目になる | 自分がいないと何が止まるか |
| 脅し屋 | 圧力や競争を保つために動く | 本当に守っているものは何か |
| 尻ぬぐい | 直したい仕組みを人力で補う | 原因を直す場があるか |
| 書類穴埋め人 | 報告書や申請の形が先に立つ | 読む人と使い道が明確か |
| タスクマスター | 仕事を増やす仕事が増える | 増えた仕事で誰が助かるか |
表の中に思い当たる作業があっても、その作業をすぐ悪者にしない。まず届け先と使い道を確かめます。目的を聞ける人、回数を減らせる場面、別の形にできる部分を探します。
つらさを怠けと決める前に、削られているものを言葉にする
目的や届け先を説明しにくい仕事は、体力を削り、自尊心にも響きます。自分の時間を何に使っているのか分からなくなるからです。
周りが当然のように続けている仕事ほど、「つらい自分が甘いのか」と考えやすくなります。けれど、使い道が見えない作業を抱え続けると、疲れは長く残ります。下の表では、削られているものと先に取る対策を並べています。
| 削られているもの | 出やすい状態 | 先に置く対策 |
|---|---|---|
| 時間 | 残業や待機が増える | 作業回数、締切、会議時間を減らせないか聞く |
| 体力 | 眠っても疲れが抜けにくい | 休息、通院、産業医や相談窓口を使う |
| 自尊心 | 自分の仕事に価値がないと考え続ける | 役に立った仕事と苦しい仕事を分けて書く |
| 将来の選択肢 | このままでいいのか不安になる | 異動や転職で避けたい条件を書く |
人間関係の負担が強い時は、仕事の目的だけを見ても疲れが抜けにくいです。距離の取り方も一緒に考えたい時は、次の記事で関わり方を見直せます。
本で読むなら、怒りを判断に変える
ブルシットジョブという言葉を知ると、職場への怒りに理由があったと分かります。そこで終えると、明日の相談や次の職場選びにはつながりにくくなります。
本を読む時は、怒りを大きくする読み方で終えません。作業名、使う人、変えられる範囲を書きながら読むと、次の判断に使えます。
理解を深める本
職場への怒りを、次の相談に変えたい時に
怒りの理由が見えると、気持ちは一度落ち着きます。その後で必要なのは、どの作業を変えるか、どの環境から離れるかを考える時間です。書籍でまとめて読むと、明日相談する作業や次の職場条件を整理しやすくなります。
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読みながら、気になった作業名を書き残します。誰が使うのか、やめた時に困る人はいるのか、変えられる範囲はどこか。下の表では、読む時にメモしておきたい項目を並べています。
| 読む時に書くこと | 例 | 使い道 |
|---|---|---|
| 苦しい作業名 | 目的が分からない週次資料 | 相談する材料にする |
| 似ている型 | 書類穴埋め人に近い | 怒りを言葉にする |
| 変えられること | 項目数、提出先、作成頻度 | 減らす内容を一つ決める |
| 変えにくいこと | 評価制度、部署文化 | 異動や転職条件に入れる |
読み終えた日に、大きな決断まで急がなくていい。今週は一つだけ、目的を聞く作業を選びます。次は、その聞き方を職場で使える言葉にします。
職場では、目的を聞く言葉に変える
職場で話す時は、「意味がない」と言い切ると相手が身構えやすいです。伝えたい中心は、作業の目的と使い道。そこへ話を戻すと、相談が始まりやすくなります。
下の表では、言いたくなる言葉と、相談につなげやすい言い方を並べています。自分の職場で使いやすい表現に直します。
| 言いたくなる言葉 | 置き換える言葉 |
|---|---|
| この資料、意味ありますか | この資料はどの判断に使いますか |
| この会議に出る必要がありますか | 私が参加したほうがよい議題はどこですか |
| 同じ報告を何度もしています | この報告はどの形式に一本化できますか |
| 誰も読んでいない気がします | 読んでいる方と使う場面を確認したいです |
| この仕事をやめたいです | この作業の回数か担当範囲を見直せますか |
目的を聞いても答えが返ってこない時は、その記録があとで役立ちます。いつ、誰に、何を聞いたか。返ってきた答えは何か。後から相談する時の材料になります。
変えられることと、準備がいることを分ける
すぐ変えられる作業もあれば、評価制度や部署文化に近く、一人では動かしにくい作業もあります。抱え込むと、自分だけが頑張り続ける形になりやすいです。下の表では、今日から動けることと、準備がいることを分けています。
| 段階 | 確認すること | 取れる動き |
|---|---|---|
| 今日から減らせる手間 | 資料、報告、会議の重複 | 様式や回数を一つ変える |
| 相談できること | 目的が曖昧な作業 | 目的と届け先を聞く |
| 支援を使うこと | 体調不良、強い疲労、眠れない状態 | 産業医、相談窓口、医療機関に相談する |
| 準備がいること | 評価制度、部署文化、慣例 | 異動や転職で避けたい条件を書く |
職場がすぐ変わらない時ほど、全部だめだと考えやすくなります。今日減らす手間、誰かに相談する作業、時間をかけて準備することを分けておくと、次に動く順番が決まります。
働く意味は、作業の届け先から考える
働く意味を大きな言葉で探すと、答えが遠くなります。最初に確かめるのは、今日の作業の届け先です。誰かの判断が早くなる、お客さんの不安が減る、同僚の手戻りが減る。届け先がある仕事は、負担があっても納得しやすくなります。
転職を考える時も、やりたい仕事だけで選ぶと、同じ疲れをくり返しやすくなります。決裁の多さ、会議の長さ、資料文化、評価の基準、担当範囲の曖昧さ。自分を削っていた条件を書いておけば、求人票や面接で聞くことが具体的になります。
今日やることは一つにします。今の仕事を一つ選び、誰に届いているかを書く。答えが出ない作業は目的を聞く材料にし、答えが出る作業は手順や回数を相談します。
ブルシットジョブという言葉は、怒りを強めるためだけに使うと仕事全体を苦しくします。自分の時間をどこへ使いたいかを考える言葉として使うと、明日の行動を選びやすくなります。
参考情報
記事の内容を確認する時は、一次情報や書籍もあわせて見ると判断しやすくなります。
- デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』
- 厚生労働省「労働安全衛生調査」
- 厚生労働省「こころの耳」

