頼みを断ろうとすると責められる。話した内容を後から否定される。交友関係や行動を細かく確認される。こうした言動が続くときは、断ったら何が起こり得るかを確認してください。脅しや重大な不利益が予想されるかどうかで、最初に取る行動が変わります。
最初に確認するのは、返事を保留したり断ったりした後に、脅し、監視、待ち伏せ、暴力、仕事や金銭上の報復が起きるおそれがあるかどうかです。相手の反応が怖い場合は、この記事の返答例を試さず、安全な場所と相談先を確保してください。
この記事では、具体的な言動を確認したあと、低リスクの場面、圧力が繰り返される場面、身の危険がある場面に分けて、最初に取る行動を案内します。
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マニピュレーターと呼ばれる言動
英語のmanipulatorは、自分に有利になるよう他者をコントロールする人を指します。日本語でも、人の不安や罪悪感を利用し、自分の望む行動を取らせようとする人を指す一般的な呼び名として使われます。医学上の診断には使われない一般語です。
対処を決める材料は、実際に起きた言動と、その後に生じた不利益や危険です。たとえば、次のようなことが続いていないかを確認します。
- 返事を急がせ、考える時間を与えない
- 断ると「冷たい」「あなたのせいだ」などと責める
- 以前の発言を、後から「そんなことは言っていない」と否定する
- 家族や友人との連絡を減らすよう求める
- 断った後に、仕事、金銭、住まい、評判への不利益を示す
- 行動を監視する、待ち伏せる、物を壊す、暴力を振るう
一度の依頼や意見の違い、返信の遅さだけで、意図的に操作しているかどうかは分かりません。確認するのは、同じ言動が何回、どの期間に起き、生活や仕事へどのような影響が出たかです。
対処を決める前に危険の程度を確認する
断った後に何が起こりそうかを確認し、今の状況にいちばん近い項目を読んでください。
A. 現時点では脅しや重大な不利益が予想されない
単発の依頼や軽い圧力で、返事を保留しても身の危険や重大な不利益が起きそうにない場面です。その場で決めず、依頼の条件を確認します。
B. 圧力が繰り返され、不利益や報復のおそれがある
同じ要求が続く、断ると仕事・金銭・評判への不利益をほのめかされる、周囲から孤立させられるといった場面です。個人間の会話だけで解決しようとせず、相談先を確保します。
C. 脅し、監視、待ち伏せ、暴力がある
逃げ道をふさぐ、位置情報を追跡する、拒否した後も接触する、物に当たる、危害を加えると告げるといった場面です。返事や記録を続けず、安全な場所へ移ります。
どの項目に当てはまるか判断できない場合や、相手の反応が怖い場合は、行動を起こす前に相談窓口へ状況を伝えてください。その時点で分かっている出来事と、心配していることを話します。
重大な不利益が予想されない場面では返事を保留する
ここで紹介する返答例は、現時点で脅しや重大な不利益が予想されない場面を対象にしています。相手の反応が怖い場合は、返答例を試さず、「脅し・監視・待ち伏せ・暴力がある時」を先に読んでください。
頼まれた直後に答えを求められても、内容を確認する時間を取ってください。職場なら、担当範囲、期限、必要な作業、優先順位を尋ねます。私的な依頼では、何をどこまで引き受けるのかを確かめてから返事を決めます。
- 「予定を確認して、今日中に返事をします」
- 「その期限では引き受けられません。来週なら対応できます」
- 「今回は参加しません」
理由に反論を重ねてくる相手には、結論と必要な条件だけを伝えます。短く断った後も圧力が続いたら、次の章で第三者への相談方法を確認してください。
脅しや報復がなく、断る言葉や連絡時間を具体的に決めたい場合は、次の記事も参考になります。
圧力や不利益が続く時は第三者へ相談する
相談する際は、いつ、どこで、何を言われ、どのような不利益が起きたかを整理します。
- 日時と場所
- 言われたこと、要求されたこと
- 自分が返した内容
- 同席していた人
- 業務、金銭、住まい、交友関係への影響
第三者へ相談し、相手との連絡手段、会う場所、金銭のやり取りをどうするかを、相談員と一緒に決めてください。メールやチャットなど、文面に残る方法で職場の依頼や返答をやり取りすると、相談時に経緯を伝えられます。
職場の相談先は、人事、社内相談窓口、労働組合、外部の労働相談です。厚生労働省のハラスメント相談窓口案内は、相談時に整理しておく項目として、日時、場所、言動、相手、目撃者を挙げています。
ただし、記録を集めるために危険な接触を続けないでください。端末や通信履歴を監視されている可能性がある場合は、どこへ何を保存するかも相談員と決めます。
脅し・監視・待ち伏せ・暴力がある時
逃げ道をふさぐ、位置情報を追跡する、拒否した後も接触する、物を壊す、危害を加えると告げる行為がある時は、返答を工夫する前に安全な場所へ移ります。そのうえで、状況に合う窓口へ連絡してください。
- 事件・事故など緊急の対応が必要:110
- 緊急ではない警察への相談:警察相談専用電話 #9110(警察庁)
- 待ち伏せ、位置追跡、拒否後の反復接触:ストーカー被害に悩む方へ(警察庁)
- 配偶者・交際相手からの暴力や支配:DV相談ナビ #8008・DV相談プラス 0120-279-889(内閣府)
別れや連絡を絶つことを直接伝えると、危険が高まる場合もあります。相手へ伝える時期や方法は、専門の相談員と一緒に考えてください。
困っている状況に合う相談先
相談先は、相手との関係と現在の危険に合わせて選びます。どの制度に当てはまるか分からないときは、いずれかの窓口で状況を説明し、どこへ相談すればよいかを尋ねてください。
| 困っていること | 最初の相談先 |
|---|---|
| 職場のいじめ、嫌がらせ、パワハラ | 総合労働相談コーナー(厚生労働省) |
| 配偶者・交際相手からの暴力や支配 | DV相談ナビ・DV相談プラス(内閣府) |
| 待ち伏せ、位置追跡、拒否後の反復接触 | 警察庁のストーカー相談案内 |
| 差別、虐待、ハラスメントなどの人権問題 | 人権相談(法務省) |
| 不眠、食欲低下、不安など心身の不調 | こころの耳(厚生労働省) |
窓口で受けられる支援は、状況や地域によって異なります。対象と受付方法を、連絡前に公式ページで確認してください。
最初に取る行動を一つ決める
今の状況をA・B・Cのいずれかに当てはめ、今日取る行動を一つ決めてください。
- A:依頼の内容、期限、負担を確認し、いつまでに返事をするかを伝える
- B:日時、言葉、要求、不利益を整理し、第三者へ相談する
- C:安全な場所へ移り、110、#9110、DV相談ナビなどへ連絡する
相談するときは、「いつ、どこで、何が起きたか」「断った後にどのような不利益や危険があったか」を伝えます。
参考情報
言葉の意味と相談先は、次の資料で確認しました。

